これは、インドでは多少教育に力を入れているご家庭のお子さんは公立校ではなく私立校に通うのですが、この私立校のほとんどが、英語で授業を行う学校(English Medium School)だからです。
義務教育前の幼稚園やプリスクールもまた、英語環境であることが多いようです。
幼少期から高等教育まで、英語で教育を受けたインド人は、アメリカなどの英語圏で就職する際にとても有利です。
また、インド人は理系に強いため、アメリカをはじめ世界中の国で、コンピューター・IT業界や医療の場で大活躍をしています。
(Google、Microsoftなどは、インド人の技術者が大半を占めます。)
北米在住のインド人の友人(ソフトウェアエンジニア)が、facebook でこんなことを書いていました。
「私はここに住んでいて、現地の人に『あなた、英語が上手ね』って言われるのが大嫌い。」
どうしてでしょう?褒められて嬉しくないのでしょうか?
インドにて英語で教育を受けた彼女からすれば、英語ができるのは当たり前であり、自分は英語のネイティブであるという思いがあるのだと思います。
オーストラリア人が、バリバリのオーストラリア訛りの英語で話しても、「あなた、英語が上手ね」とは言われないし、もし言われたら、「は?」となってしまうのと同じで、英語を母国語と同等に扱って育ったインド人にとっては、失礼極まりないコメントなのでしょうね。
実際、インド人の英語の読み書きはパーフェクトです。論文などを書かせても、ノンネイティブによくある冠詞や文法の間違いはないですし、英語圏に留学に来る人は頭の良い人が多いので、英語圏で育った人よりも、平均的に見てよっぽどしっかりした文章を書きます。
日常会話はどうでしょう?
インドでは公用語のヒンディー語以外にも、たくさんの言語が公用語(州公用語)として存在します。そのため、インドにいるインド人同士でも、母国語では会話ができず、英語に頼らざるを得ない状況が多々あります。そのため、英語は準公用語の位置付けになっています。
この場合、インド人同士で話す英語はイギリスやアメリカで話されている英語とは少し違っており、インド英語と呼ばれます。
インド英語は、イギリス英語を基調として、インドの言語独特の訛りが強いのが特徴です。また、インド英語にしか存在しない単語もあります。
特に、ヒンディー語の訛りが強いものは、ヒングリッシュなどと呼ばれますね。
インド人はこの訛りを恥ずかしいなどとは全く思ってはおらず、逆に誇りを持っており、誰を相手にしていようと、自信を持ってしゃべります。
なんと、インド英語人口は、アメリカ英語人口に次いで、世界で2番目に多いようです!
ここまで来ると、「英語の方言」と言ってよく、英語圏のどの地域に行っても、訛りのせいで相手に理解してもらえないことは少なくなります。相手も慣れているからです。
日本人はよく、幼児期からの英語教育に反対する理由として、「幼児期に日本人の親や教師が英語を教えると、ネイティブのように発音できなくなる」ということを挙げています。
ネイティブ風に発音することにばかり頭が行っている人が多いようですが、これから世界で活躍するにおいて、日本語訛りの英語でも何ら問題はないと思います。
それよりも、英語で表現する力、理解する力に重点を置いて、使える英語を学ぶことに集中すべきではないでしょうか。
インド人が英語を学ぶ上で目的としていることは、英語が話せるとかっこいいとか、外国人とコミュニケーションをとってみたいとか(文化交流的な意味で)、センター試験や就職時の試験に有利とか、そう言った次元ではありません。
インド人が英語を学ぶ目的には、下記のようなものがあります:
- 各分野(特に科学技術分野)の最先端の情報や知識をいち早く仕入れること
- アメリカをはじめとする先進国でお給料の良い職につくこと(現地の人とコミュニケーションがとれること。在インドの外資系企業で働く場合も同様。)
- 世界中の情報を翻訳を介さずに直で仕入れること
- 自分とは違う言語を喋るインド人とコミュニケーションを取ること
個人的に、インド人は文化交流などにはあまり興味がないように感じます。
例えば、アメリカ人家庭にホームステイをして英語やアメリカの文化を学ぼうと思う日本人は多いと思いますが、同じように思うインド人は非常に少ないと思います。それよりも、食生活などが同じなアメリカ在住のインド人家庭でお世話になることを好むでしょう。これは、すぐに現地の人のことを理解できるだけの英語力が、渡米時点で既にあるという自信によるものでもあると思います。
日本では、English Medium School が一般的になることはないと思いますし、そうなる必要もないと思います。でも、インドの英語教育から学べる部分はたくさんあると思います。ではどのような風に、という話はまたの機会にしたいと思います。
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